日本全国で増加し続ける空き家。適切な対応を取らずに放置すると、劣化が進み、活用や売却が難しくなる場合があります。不動産の専門家として、空き家を活用する方法を見つけ、地域の賃貸ニーズを支える提案を行ってみましょう。
日本における空き家問題
新築住宅が好まれる傾向が強い日本では、中古住宅が敬遠されることが多く、その影響で全国各地で空き家が増加しています。特に人口が減少している地方では、一度空き家になった住宅は次の入居者が見つかりにくく、都市部よりも深刻な問題となっています。
空き家の定義
国土交通省によれば、1年以上居住者や利用者がいない住宅は空き家に該当します。判断基準として、電気・ガス・水道の使用状況や住民票の有無、管理状態などが挙げられます。
空き家問題の現状
空き家は人が住まなくなると通気や通水が止まり、劣化が加速します。放置すれば、周辺環境への悪影響や景観の損壊、害虫・害獣の住処となるなどの問題が生じます。
空き家の種類
- 賃貸用住宅: 賃貸物件の中で借り手が見つからないもの(空き家全体の約50.7%)。
- 売却用住宅: 売却予定の空き物件(約3.7%)。
- 二次的住宅: 別荘やセカンドハウスなど(約4.4%)。
- その他の住宅: 利用目的がない空き家(約41.2%)。
空き家が増える主な原因
少子高齢化
高齢化率の上昇と人口減少が空き家増加の主要因です。特に高齢者が入院や施設入所などで自宅を離れるケースが増えています。
相続問題
相続された住宅を利用しないケースが多く見られます。感情的な理由で解体や売却をためらうこともあり、空き家が放置されがちです。
固定資産税の優遇措置
建物を解体すると税負担が増加するため、優遇措置を受ける目的で空き家がそのまま放置されることがあります。
解体費用の負担
解体費用が高額になることから、空き家の取り壊しが進まないケースもあります。自治体による解体費用補助制度が利用できる場合もあるため、チェックしてみてください。
空き家が抱えるリスク
周辺環境への影響
放置された空き家は景観を損ねるだけでなく、害虫や害獣の住処になるなど周辺環境に悪影響を及ぼします。
犯罪の温床
空き家が犯罪者の潜伏場所や不法投棄の場となるリスクがあります。放火や不法侵入の危険性も無視できません。
資産価値の低下
適切な管理が行われない空き家は、建物の劣化が進み、資産価値が下がります。
災害リスク
老朽化した建物は地震などの災害時に倒壊する恐れがあり、周囲に被害を及ぼす可能性があります。
機会損失
空き家は適切に活用すれば資産価値を高めることができますが、放置すると維持費だけがかかる状況に陥ります。
空き家対策の取り組み
政府の施策
2015年に施行された「空家等対策特別措置法」により、特定空き家への対応が可能になりました。適切に管理されていない空き家は、特定空き家として指定されると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなる可能性があります。
自治体・民間の取り組み
自治体による「空き家バンク」や、民間企業の「空き家管理サービス」が普及しつつあります。これらは空き家の活用や管理を促進する取り組みとして注目されています。
私たちが空き家活用でできること
空き家問題を解決するには、地域の需要に応じた活用方法を提案し、実際に行動に移すことが重要です。私たちは、物件の特性や市場動向に精通しており、所有者が気づいていない潜在的な価値を引き出す役割を担うことができます。また、リフォームや賃貸、売却といった多様な選択肢を所有者に提示し、空き家の有効活用を実現するためのプロセスをサポートします。
- 賃貸住宅としての貸し出し
- シェアハウスやシェアスペースとしての活用
- リフォームやリノベーションの提案
- 民泊としての運用
- 物件の売却提案
まとめ
空き家の増加は全国的な問題ですが、私たちがその活用を提案することで「負の遺産」を「ビジネスチャンス」に変えられる可能性があります。適切な管理と活用方法を所有者に提案し、空き家問題の解決に貢献しましょう。